2020.06.08 | FP赤井の生活マネー情報
フェイクニュースに惑わされないために
東京の緊急事態宣言も解除となり、少しずつですが町の風景や人々の生活が普段の姿に戻りつつあります。
6月に入り日経平均株価も23,000円台まで上昇。コロナ感染拡大前の年初の24,000円に届こうかという勢いで回復しています。実経済とのギャップは感じるものの、ホッと胸をなでおろしている投資家も多いのではないでしょうか。
株価が下落すると、年金はどうなる?
2月後半、ダイヤモンドプリンセス号以外でも感染が徐々に拡大し始め、安倍首相が3月頭から全国一斉休校を要請したころから日経平均株価は下落を続け、3月19日にはついに16,000円台に。ひと月で株価が2/3になったわけです。
こういう時に必ず目にするこんな記事。
「政府の運用失敗で20兆円の年金が消えた!」
「GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が続けるギャンブル運用!私達の年金を返せ!」などなど。
株価が下がれば当然株を持っている個人・法人・機関投資家の資産の評価額は減ります。日本の年金を司るGPIFが運用している積立金は約160兆円。そのうち半分は国内外の株式なので、「株価が下がったので25兆円の資産が減った」という試算自体は、まあ間違ってはいません。
減ったのは「評価額」で明日の年金額ではない
ただしそれはあくまで「評価額」の話。全額現金にして損失確定すればその通りでしょうが、実際は一時的な株安のたびに焦って売却するわけではありません。
株価の下落局面では、政権への批判を煽りたくて仕方のない一部のメディアが、決まってこの手の記事を出します。しかしこの評価減が原因で年金が減ったり年金制度が破綻することはありません。
GPIFは2014年に、それまで約24%だった株式の比率を50%まで引き上げました。その結果、株価の上下がいままで以上に積立金の評価額の上下に影響するようになったのは確かです。
しかし忘れてはいけないのは上昇局面でのレバレッジです。株価が回復していけば、積立金も大きく回復します。そんな時は前述のメディアは沈黙しています、、。
年金を諦めるな
心配なのは、上記のような国民を煽りたいだけの記事を読んで、「ああ、やはり日本の年金は破綻するんだ」「どうせ将来もらえないなら、国民年金を払うのは無駄だ」という人が増えてしまうことです。
実際サラリーマンは公的年金は強制加入なので「払うのをやめる」ことは難しいですが、自分の年金に希望も興味を持たないまま払い続けるのか、それとも現実を理解し、仮に年金に不足があるなら積極的にそれを埋めようと努力するのか。どちらが豊かな老後を迎えられるかは、言うまでもないでしょう。
確かに年金は複雑ですが、分からない、どうせもらえないと諦めず、iDeCoなどの有利な制度を有効活用しながら、賢く豊かな老後を迎えたいですね。