2020.07.04 | FP赤井の生活マネー情報
金融リテラシーが高いのは何県人?
金融リテラシー調査とは
金融広報中央委員会が実施する「金融リテラシー調査」をご存知でしょうか。2016年、2019年と近年2度にわたって行われている「日本人の金融知識」を問う大規模調査です。
18歳から79歳までの25,000人を対象とし、金融の基礎知識、家計管理、資産形成などに関する53の問題を回答させます。その正答率と、普段の金融活動(投資信託を購入しているか、金融トラブル経験者かなど)との関係性を見るものです。
都道府県別の正答率
年齢別や都道府県別の正答率も発表されています。果たして、2019年度の調査で最も金融リテラシーの高い都道府県はどこだったのでしょう。
1位 香川県(2)
2位 長野県(7)
3位 山形県(45)
※カッコ内の数字は前回順位
トップは香川県で、正答率は62.3%。2016年に実施した前回調査の2位から首位に浮上しました。2位は長野県で正答率59.8%、3位は山形県で59.0%でした。山形県は2016年の45位から一気に上位に浮上しています。ちなみに前回トップだった奈良県は23位となりました。
一方下位3県はというと…
45位 栃木県(26)
46位 佐賀県(39)
47位 沖縄県(46)
最も低かったのは沖縄県で正答率は51.8%でした。この手の調査では安定の下位です、、。ちなみに昨年最下位だった山梨県は15位に浮上しました。
上位も下位も、大都市圏ではなく比較的小規模の地方県なのが興味深いですね。
また金融広報中央委は「金融知識の正答率が低い都道府県ほど振り込め詐欺や多重債務などの金融トラブルに巻き込まれやすい傾向がある」とも分析しています。
短絡的には言えませんが、「金融知識が足りないとお金にルーズになる」傾向はわかる気がします。結婚相手やビジネスパートナーの判断基準としても、金融リテラシーは大事なポイントかもしれません…。
2016年と2019年で結果が違う?
前回と比べて大きく順位が変わる都道府県も多いようです。たった3年でそれほど大きく住人のリテラシーが変わるとは思えませんが、2016年と2019年で何かが変わったのでしょうか。
はじめ「老後資金2,000万円不足問題」が頭をよぎったのですが、調査は2019年の3月。問題発覚は6月だったので時期が合いません。考察してみると、この期間に2つの動きがありました。
- 生命保険の運用利率が低下し、各社個人年金商品や終身保険の売り止めとなった
- iDeCoやNISAなどの税制優遇措置が拡大した
つまり、いままで貯蓄の一環として選ばれていた生命保険への資産の流入が止まり、自己責任が求められるリスク商品へ資産が移った時期に合致します。
地銀信金が元気なエリアはリテラシーが高い?
NISAのスタートは2014年ですが、金融機関が本格的に参入し、積極的に販売を強化し始めたのは2016年以降だと思います。
金融商品販売に積極的な「地方銀行」や「信用金庫」が多い県は、金融リテラシーが高い、とは言えないでしょうか。販売のためには顧客を教育し、学んでもらわなければなりません。ただしまったく根拠のない持論なので、時間のある時調べてみたいと思います。
リテラシーをあげる近道は?
金融庁が取り組む「貯蓄から投資へ」促す一連の施策は、投資初心者にとってチャンスです。上記のように金融機関から学ぶのも一手ですが、できる範囲でまずはスタートし、たまには失敗もしながら実際に運用を続けることが、私たちのマネーリテラシーを上げていく近道かもしれません。
NISA、iDeCoともに制度変更も予定されており、より使い勝手の良い制度になっていきそうです。未経験の方は、まずはつみたてNISAから始めてみてはいかがでしょうか。