2015.01.31 | FP赤井の生活マネー情報

「超カンタンな」相続税改正のお話

平成27年1月以降の相続から、「相続税の基礎控除額」が変わりました。

全然関係なーい、と思っている方も多いと思いますが、基礎控除額の縮小によって対象者が増加することになります。
少し前まで「何億」とか持っている人の話でしょ?という認識だったものが、特に首都圏であれば一般家庭にも影響が及ぶことがあるので、ぜひ確認してください。

また基礎控除額の他にも、宅地の評価額が減額される「小規模宅地等の特例」などが改正されます。この特例は相続税に大きく影響する場合もありますので、特におさえておきたい特例なのです。

ただ、新聞やニュースでもさんざん報道されていますが、専門用語ばかりで分からない…、という声もよくお聞きします。
「コージョ」とか「ヒョーカ」とか「トクレー」とか…確かに拒否反応が出そうなのも分かります。

そこで今回は、面倒な部分を大胆にはしょって、超わかりやすく説明してみたいと思います。

 



●相続税の基礎控除はいくらになる?

平成26年12月までは、基礎控除額(つまり相続を受けたけどココまでは税金かからないよ、という額)
5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)でした。

しかし平成27年1月以降は、基礎控除額は
3,000万円+(600万円×法定相続人数)になりました。

例えば、法定相続人(亡くなった人の配偶者や子ども)が合計3人の場合、平成27年以降の相続では、基礎控除額は4,800万円になります。

つまり、遺産総額(総資産から、色々免除とか減額とかした後の評価額)が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

従来、このケースでは8,000万円以下ならば相続税がかからなかったわけですから、当然今年から相続税の納税対象者が増えることになるわけです。

●小規模宅地等の特例とは?

「小規模宅地等の特例」とは、居住用、事業用、貸付用の宅地を相続する場合、ある条件をクリアすれば、土地の評価額が減額される特例です。つまりそのぶん相続税が発生しにくくなるということです。

そもそもこの制度は、「金儲けのための土地ころがし」ではない、代々の土地や、地道に事業を行ってきた場所を、子どもが相続税が払えなくて手放してしまうのを防ぐため、といえます。国もそこまで鬼じゃない、ってことでしょうか。

居住用、事業用の土地はそれぞれ80%、貸付用は一般的に50%減額されます。

例えば、おじいちゃんが住んでいた家の土地が5,000万円の評価額であれば、4,000万円減額されて1,000万円だけが遺産の額(課税価格)に算入されます。かなり大きな減額ですよね。

そんな特例ですが、平成27年1月以降の相続から、以下の点が改正されました。

(1)居住用宅地について、特例を受けられる上限面積が240㎡から330㎡に拡大
※小規模とかいいながら100坪まで対象になりました。

(2)事業用の土地(Max400㎡)と居住用宅地(Max330㎡)について、どちらも一緒に特例を受けることができるようになります。
※つまり自宅兼クリーニング屋さん、とか華道教室などであれば、合計730㎡まで減額の対象になります。


●小規模宅地の特例を受けられる条件

(1)被相続人(死亡した人)の自宅の敷地を、配偶者や同居している子どもが相続した場合
(2)被相続人(配偶者がなく、一人暮らしをしていたのち死亡)の自宅の敷地を、別居して賃貸住宅に住んでいる子どもが相続した場合

つまり配偶者への相続なら無条件にOK。
子どもへの相続なら「同居」か「別居で賃貸住まい」でないと受けられないのです。
ちなみにこの「同居」ですが、二世帯住宅でも同居とみなされます

東北に住んでいる私の親が亡くなり、その土地を評価する時、東京に住んでいる私が「持ち家」だったら100%評価、「賃貸」だったら20%で済むわけです。

いかがでしょうか。
東北の土地はまだしも、都内などに土地付き一戸建てを持つ方であれば、決して大富豪でなくとも基礎控除を超えるケースは増えてきます。

小規模宅地の特例を上手く利用できれば良いですが、実家から離れてマンションを買ってしまっていれば、適用は難しくなります。
その場合、別な対策が必要になります。

そうは言っても、そもそも遺産総額の確認をしないことには対策も講じられません。
相続なんてまだまだ…と思わず、気になった方は早めに専門家に相談してみてくださいね。

 

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