2016.03.04 | FP赤井の生活マネー情報

住宅ローンは「結婚」に似ている!?マイナス金利でどうなる住宅ローン

マイナス金利導入

 

日本銀行が1月29日、日本初となるマイナス金利の導入を発表し、2月16日には実施されました。
金融機関が日銀に預けている預金に対して、利息を受取るのではなく手数料を支払わなければならなくなる、
というのがこのマイナス金利です。

 

この結果

  • 金融機関が日銀に預け続けるのを止めさせ、個人法人への融資を活発化させる
  • 融資金利も下がり、個人法人とも設備投資や住宅ローン活用への意欲が増す
  • 預貯金利息の低下につながり、個人資産を株式などの投資に向けさせる

などの効果を生むと見込んで発射された、「黒田バズーカ第3弾」です。

 

 

金融機関への影響

 

さっそく各銀行は預金金利を下げると発表しました。
大手銀の普通預金は0.001%に。100万円預けて、1年後に10円とは…。
いままでも低かったので、もはや先月までとの違いもよく分かりませんが、異常な水準であることは確かです。

 

さてそんなマイナス金利ですが、前述したように住宅ローンへの影響も早速出始めています。
ただしまず最初に注意したいのは、

 

変動金利は日銀の政策
固定金利は市場の動向

 

からそれぞれ影響を受けるということです。
ここでいう日銀の政策とは、今回話題になっている日銀に預けた銀行の預金ではなく、
日銀が銀行に融資する際の金利です。
また市場の動向とは、長期国債金利の上下です。

 

いずれも今回のマイナス金利と直接は関係ないのですが、間接的な影響を受けてどちらも下落傾向です。
ただ、固定と変動の金利の決まり方は全く違うので、一緒に考えないよう注意しましょう。

 

固定金利

マイナス金利によって銀行の資金が国債に向けられ、国債の価格が上がり、金利が低下。

その10年物の国債に連動するのが住宅ローンの長期固定金利です。
フラット35や10年固定ローン(以後は変動)などは、この影響で2016年3月、金利が大幅に下がりました。

 

今後30年など長期にわたって金利が固定するわけですから、低いことに越したことはありません。

今のこの低金利は、固定にするチャンスと言えます。

 

変動金利

日銀に預けても意味が無い銀行は、個人の住宅ローン獲得に躍起になっています。
銀行の変動金利は、いま0.6%前後。でも、うち団信料が0.3%程度を占めているはずですので、
銀行の受取る利息は微々たるものです

 

それでもなぜ、銀行は住宅ローンを他行と競争してまで獲得しようとするのか。
理由は簡単。いずれ金利が上がった時に利益を取り戻せるからです。

 

銀行もこの低金利がずっと続くのなら、住宅ローンを積極的に契約しようとは思いません。
将来的に金利が上昇すれば、堂々と高い利息を取れる。
これを待っているのです。

 

変動金利の場合、その可能性(リスク)も理解したうえで検討しなければなりません。
銀行は、金利を上げたくてウズウズしています。

 

「仮に2%になったときはいくらになるか」
「4%になった時は払えるのか」

 

などのシミュレーションもしておかなければなりません。
2年固定、5年固定も同様です。

 

不動産屋さんや銀行は、こんな話はしてくれません

自分で試算してみましょう。

 

結局どの金利にすれば良いのか

 

ある程度金利が上がっても、返済に耐えられるのであれば変動でも良いでしょう。
バブルのような8%で試算する必要まではないですが、3%程度になる予想はつけておくべきです。

 

夫婦共働きで、お子さんがいても年間100万円の余剰が生まれている、など計画的な貯蓄ができているのであれば、
やはり低金利傾向の10年固定を利用しても良いかもしれません。

 

いずれにしても将来金利が大きく上昇した場合、
繰上げ返済することによって余分な利息払いを回避できる方が適しています。

 

それ以外の方は、35年などの長期固定金利のほうが安心です。
少し厳しい言い方ですが、そもそも今の1.5%未満のフラット金利が高いと思ってしまうようでは、
家を買うのは諦めたほうが良いかもしれません。

 

既に住宅ローンを組んでいる方は

数年前に自宅を購入し、既にローンを組んでいる方にとっては、今は借換のチャンスです

 

「7年前の変動金利で2%程度」
「5年前のフラット35で3%」
「5年固定だったが、今年変動に変わって3%超えた」

 

これらは実際ご相談いただいたケースです。
借換によって支払う利息が300万円減った、ということも珍しくありません。
購入して4,5年経っているようでしたら検討してみてください。
また、購入時より収入が上がっていたりすると、より良い条件で借換ができるケースもあります。

 

最後に

長い目で見た時、今回の金利下落で一番恩恵があるのは「長期固定金利」です。
現在変動で検討されている方は、もう一度金利上昇リスクもふまえた上で選択してください。

 

「住宅購入と結婚は似ている」と何かのコラムで見たことがあります。
どちらもタイミングと勢いが大事、という意味だったように思いますが、
私に言わせると「変動金利での住宅購入は、気分屋の彼女との結婚に似ている」

 

今は良くてもずっと同じとは限りません。
特にいまは「彼女がとても優しくてステキに見える」超低金利の時期。
変動金利や短期固定は、将来激しく乱高下したときのリスクも考慮して選びましょう。

 

大きく違う点は、
結婚は「自分の努力で乱高下を抑えることができる」。
金利は「イザとなったら簡単に借換えができる」ということでしょうか…

 

ご相談はこちらからどうぞ。

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