2017.04.18 | FP赤井の生活マネー情報

賃貸派・持ち家派で分かれる相続対策とは?

2015年1月に改正があり、控除が大きく削減された相続税。
いままで「ウチには関係ない」と思っていた方も、思わぬ課税で大変な目に…ということもあり得ます。
にわかにブームになった「相続対策」という言葉ですが、とにかく専門用語が多くて理解するのが大変。
ここでは、「住宅」を切り口に、比較的分かりやすい親→子間の相続対策を挙げてみたいと思います。

持ち家派の相続対策

 

20代ではまだまだ少ないですが、30代になり、結婚・出産を経てたどり着くのは「家を買うかどうか」の選択。
20代では11%程度の持ち家率も、30代になると40%を超え、40代では50%を超えます。
さらに65歳以降の持ち家率は80%を超えるので、「日本人のほとんどは、いつかは家を買う」と言っても過言ではありません。
30代や40代で自宅の取得率がグンと上昇するのですが、まさにこのころは子育て世代。家を購入するにしても、さほど多くの自己資金は準備できません。
そのような時にありがたいのが「親からの資金援助」。実はこの贈与は、一定の要件を満たせば非課税となります。
非課税枠:1200万円(一定基準を満たす優良住宅※)
非課税枠: 700万円(一般住宅)
※「断熱」「耐震または免震」「省エネ」「バリアフリー」の基準のいずれかを満たす住宅。
毎年認められている110万円の贈与税非課税枠とも併用可能なので、優良住宅なら実質1310万円まで非課税となります。
ただし将来相続税が心配な家庭では、少し待った方が良いかもしれません。実はこの非課税枠、消費税が10%に引き上げられる平成31年4月からは、最大3000万円まで引き上げられる予定です
消費税額は上がりますが、「非課税枠」を重視するなら自宅購入も延期する、というのも一つの方法です。

賃貸派の相続対策

 

さて、とかくマイノリティになりがちな「賃貸派」ですが、自宅を有しないことによる相続税上のメリットも存在します。
それが「小規模宅地の特例」です。
この制度は、例えば父親が亡くなった時に、一定の要件を満たしていれば、
相続する土地の評価額が最大で80%減額されるという制度です。
実家の土地を相続する時、本来評価額は5000万円だが、要件を満たせば1000万円になるという制度なので、
評価額が高ければ高いほど差額も大きくなります。
ただしその制度を受けられる相続人には当然条件があります。
  1. 配偶者
  2. 同居親族
  3. いずれもいない場合、相続前3年以内に自己や配偶者の持ち家に居住したことがない(家なき子

 

一次相続は1.配偶者で適用されますが、二次相続では子供が同居していない場合が多いので、2.に該当しません。
しかし、別居していても自分の持ち家に居住していなければ3.の家なき子に該当するので、特例が使えます。
もともとは2.に該当するために、親と同居の二世帯住宅を促す制度と言えますが、3.の賃貸派にも恩恵があるわけです。

まとめ

相続税対策=贈与という認識が一般的なので、今回の2つのケースのうちなら、

最初の住宅資金贈与パターンに当てはまる方の方が多いかもしれません。

 

しかし将来実家を相続する可能性があるなら自分では買わず、親の名義で住宅を購入、
子供に賃貸させて意図的に家なき子にしておく、というテクニックもあります。
※事前の節税効果試算は必須です
いずれにしても、将来的な相続発生時を見込んだ親子間での共通認識が必要なのですが、
実はこれが一番の難関。相続の話は、子供側からはしづらいものです。
住宅取得・孫の誕生などのタイミングで、「実家の家を守り続けていくためにも知っておきたいんだけど…」
と切り出すのも一手かもしれませんね。

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