2017.11.21 | FP赤井の生活マネー情報

変わる「103万円の壁」。2018年からどう働くべきか。

「103万円の壁」が2018年に廃止決定

長らく女性の仕事量を抑制してきたともいえる、「103万円の壁」が2018年についに無くなります。

配偶者の収入が年間103万円を超えると、世帯主の配偶者控除が外れ、また配偶者自身で所得税を納税する必要があることから、多くのパート主婦(夫)がいままで収入を103万円以内に抑えています。

これが「働けるのに働かないワークスタイルを助長する」「103万円の壁だ」として長らく議論の対象となっていました。

たしかに税金がかかるようになる事は間違いないのですが、例えば104万円だとどの程度の納税になるのかなど検証することなく、ただ「損しそう」とイメージが独り歩きしてきたようにも思えます。

私も学生の時のバイト先で、なんとか103万円未満に抑えようと、必死でシフト調整をしているパートの方々がいて、不思議に思っていたものでした。

さて、その壁が無くなって、いよいよ女性の社会進出は促進されるのでしょうか。まずは2018年1月から「壁」はどう変わるのか、おさらいしてみたいと思います。

 

配偶者控除・配偶者特別控除に夫の所得制限が付く

今まで配偶者控除を受ける際、夫の年収に制限はありませんでしたが、1月からは最大38万円の控除を受けるためには「年収1,120万円以下」という条件が付きます。

更に年収1,220万円を超えた場合、妻がいくら年収ゼロでも配偶者控除は受けられなくなります。

 

広がる「配偶者特別控除」

厳密には「103万円の壁が無くなる」のではなく、配偶者特別控除として150万円まで伸びる、という言い方が正しいです。

節約社長

まとめると今回の改定のポイントは、

  • 「配偶者の所得税ゼロ」&「世帯主の38万円控除」のラインは、103万円から150万円に拡張

  • 特別控除は150万円~201万円まで続く

  • 世帯主の年収が高い世帯にとっては増税

の2つに絞られていると言えます。

 

103万円の壁以外に社会保険の壁にも注意を

このように103万円の壁は無くなったわけですが、実は他にも壁はあります。それが「社会保険の壁」です。

年収が一定を超えると、今度は自分で社会保険料を払わなくてはならなくなります。

具体的には、106万円(※)、または130万円を超えると社会保険料を払わなくてはなりません。

節約社長

社会保険の場合は税金と違ってメリットもあるので、一概に「壁」とは言えません。将来の年金額が増えたり、健康保険が充実したりすることもあるからです。

ただ、やはり手取りが減ることになるので、ずっと働くつもりはないパート主婦にとっては労働時間を制限する理由にはなり得ます。

 

その「壁」は本当に我が家にとっての「壁なのか」

大事なのは、「その壁は超えて良いかどうか」見定めること。

詳しく調べないうちに「まず制限」とせず、それ以上収入がアップすることでどんなメリット・デメリットがあるのか、きちんと把握しましょう。

より働くことがデメリットにしか繋がらない、とはならないはずです。

■デメリット

・妻の所得税がかかる、夫の控除が減り所得税が上がる

・妻が家事をこなす時間が減る

■メリット

・家計に余裕が生まれる

・夫が家事を手伝うきっかけになる

など、何をメリットに感じるか、デメリットに感じるかはその家庭によりけりです

 

待機児童対策などのインフラはもちろん必要ですが、一人ひとりの意識が変わることで、「壁」は意外と気にならないものになるかもしれませんね。

 

※従業員が500人を超える企業に勤務している、などの条件に該当した場合。詳しくは厚生労働省サイトへ

一覧に戻る